神の家族の関係 ヨハネ17:20~26


この第5聖日は、本来ならU教会の先生方に来て頂き、御言葉を取り次いで頂く予定でしたが、ご存じのように、B先生のご入院のために、この度はご奉仕をして頂くことができなくなりました。本来なら、松先生にメッセージをして頂くべきでしたが、普段、たとえの講解説教をしておりましたので、今回は、主題説教を学ばせていただきたいということで、私がメッセージをさせて頂きます。

本日は、ヨハネの福音書17章20節から26節の御言葉、特に23節の御言葉から、神の家族の交わりと題して、メッセージをさせて頂きます。また、本日は、色々な用語、御言葉の箇所に触れるため、初めての試みとなりますが、プロジェクタを使います。少し、難しい内容になるかもしれませんが、皆様の消化不良にならないように、さわりの部分だけをお伝えすることになります。

本日のメッセージの小題は、三位一体の神、父・子・聖霊の交わり、神と私たちの交わりというように、いつも通り、三つに分けました。

  1. 聖書の神

さて、聖書に記されている神様とは、どのようなお方でしょうか。私たちが、祈り、賛美し、信じる対象である神様とはどのようなお方であるか、これは私たちが正しい信仰を持つ上で必要なことです。キリスト教、イスラム教を信仰する海外の人々は、神というと、創造主、超越者、絶対者という考え方がありますが、私たち日本人にはありません。八百万の神ともいいますが、昔から自然の至る所に霊が宿っており、それを日本人は神と崇めました。すなわち、火や水、自然にあるものに対して、祟りが起こらないように、そこに宿る霊を鎮めるという考え方があります。ですから、人が死んだら、仏になり、先祖は崇拝の対象となります。ところが、聖書は、そのように自然の至る所に異なった神がいるという考えがありません。創世記1:1に、「はじめに神が天と地を創造された。」と記し、この世界は神様が創造されたのだと言っています。そして、神様が世界を造られたということを、聖書は、

ロマ1:20 神の、目に見えない性質、すなわち神の永遠の力と神性は、世界が創造されたときから被造物を通して知られ、はっきりと認められるので、彼らに弁解の余地はありません。

と、被創造物、すなわち、私たちが、神様が至る所に宿っているという自然に、神様の目に見えない性質、神様の永遠の力と神性が表れているのだと言っているのです。

たとえば、身近なことは、鳥と果物があります。木は子孫を残す手段に果実をつけ、それを鳥が食べる、鳥の糞に含まれた種が別のところで芽を出す。このことは、昔から知られていましたが、誰がこのような仕組みを作ることができるでしょうか。科学万能と考えている人間ですら、この仕組みを作ることはできません。たくさんの神が宿っていたら、その神によって色々な仕組みができたはずですが、この知恵は世界中で同じなのです。こんな身近にも、創造主が存在することを証明することがあるのです。

更なる、自然界に現れる神様の知恵については、時間が無いので、また、別の機会に紹介しましょう。

  1. 三位一体の神

ヨハネ17:3には、永遠のいのちが何かと記されています。それは、父なる神様とイエス・キリストを知ることとあります。

この知るという意味は、経験を通して知るという意味を持ちます。

ヨハ

17:3 永遠のいのちとは、唯一のまことの神であるあなたと、あなたが遣わされたイエス・キリストを知ることです。

私たちは、神様のことを経験で知っていくことが必要なのです。それには、まず、神様というお方を知識で理解することが必要です。この神様は、三位一体の神様であると言われています。

さて、三位一体という言葉ですが、この三位一体という言葉は、聞いたことがある方もおられ、始めて聞いたという方もおられるでしょう。聞いたことがあるお方については、もう一度、私と共に学びなおして頂ければよいと思います。

「三位一体」という言葉は、最近は政治で使われています。2002年に小泉首相が行った構造改革で、「国庫補助負担金、交付税、税源配分を三位一体で検討する」というときに使われたようです。三つの事柄を同時に改革することを目指したときに使われました。

聖書の神様にも、この三位一体という言葉が使われています。いえ、もともと、この言葉は聖書の神様を表す言葉だったのです。

聖書には、神様は唯一のお方であると記されています。

モーセに十戒を与えたとき、

出20:3 あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない。

また、申命記には、

申6:4 聞け、イスラエルよ。【主】は私たちの神。【主】は唯一である。

というように、旧約聖書で神様は唯一であると記されています。しかし、新約聖書では、少し、神様の言い方が変わりました。

ヨハ1:18 いまだかつて神を見た者はいない。父のふところにおられるひとり子の神が、神を説き明かされたのである。

ヨハ15:26 わたしが父のもとから遣わす助け主、すなわち、父から出る真理の御霊が来るとき、その方がわたしについて証ししてくださいます。

イエス様が神様というお方を紹介しております。それは、父、子(イエス様)、聖霊(真理の御霊)なのです。

この神様がどのようなお方であるか、その後、キリスト教会の中では激しい論争がありました。そして、381年のニカイア・コンスタンティノポリス公会議で信条(現、ニカイア信条)が定まったのです。

その信条を読んでみましょう。使徒信条に似ておりますが、それよりも詳細に記述されています。この信条からでた言葉が、英語でトリニティ、日本語で三位一体という言葉なのです。

もう一度、申し上げますと、聖書は神様が唯一であると言っております。

もし、父なる神様、子なる神様、聖霊なる神様となれば、三神論といいますが、それぞれの神様がいることになります。また、このように考える人もいました。様態論といいますが、神様は、あるときは父、あるときは子、あるときは聖霊のように振舞うということです。

説明をするうえで、三位一体、三つの位格が1つの実体をもつという意味を作ったのです。

この説明をどうするかを考えておりましたが、一番簡単に聖書の神様を表すには、家族という考え方がよいと思います。

この世界に、神様は唯一の神様の家族です。他には神様はありません。唯一です。しかし、神様の家族を構成するのは、それぞれのご人格を持つ父、子、聖霊がおられるのです。

神様は、お一人のお方ではなく、唯一のお方なのです。

このように、父・子・聖霊のご人格で構成されている神様です。父、子、聖霊はすべて同質であり、神性を備えておられるのです。それでは、何が違うのか、それはヨハネの福音書の5章から知ることができます。

父は、子を愛し、すること全てを子に示す。子は父のなさることを同様に行う(父のなさらないことはしない)。

・父は蘇らせ、いのちを与えるように、子もいのちを与える。

・父は誰をもさばかず、さばきを行う権威を子に与えた。子は父から聞いたとおりに裁く。

・父は子を遣わされたことを証しする。子は父の名によって来た。

すなわち、父なる神様は、御子イエス様を愛され、行うことをすべて御子に示し、御子は父なる神様に従う。それは、いのちを与えること、裁きを行うことについて。御子は父の御名でこの世界に来て、父なる神様は、御子を遣わせたことを証するのです。

ヨハ

5:19子は、父がしておられることを見て行う以外には、自分から何も行うことはできません。すべて父がなさることを、子も同様に行うのです。

5:20 それは、父が子を愛し、ご自分がすることをすべて、子にお示しになるからです。

5:21 父が死人をよみがえらせ、いのちを与えられるように、子もまた、与えたいと思う者にいのちを与えます。

5:22 また、父はだれをもさばかず、すべてのさばきを子に委ねられました。

5:26 それは、父がご自分のうちにいのちを持っておられるように、子にも、自分のうちにいのちを持つようにしてくださったからです。

5:27 また父は、さばきを行う権威を子に与えてくださいました。子は人の子だからです。

5:30 わたしは、自分からは何も行うことができません。ただ聞いたとおりにさばきます。そして、わたしのさばきは正しいのです。わたしは自分の意志ではなく、わたしを遣わされた方のみこころを求めるからです。

5:32 わたしについては、ほかにも証しをする方がおられます。そして、その方がわたしについて証しする証言が真実であることを、わたしは知っています。

5:36わたしが成し遂げるようにと父が与えてくださったわざが、すなわち、わたしが行っているわざそのものが、わたしについて、父がわたしを遣わされたことを証ししているのです。

5:37 また、わたしを遣わされた父ご自身が、わたしについて証しをしてくださいました。

5:43 わたしは、わたしの父の名によって来たのに、あなたがたはわたしを受け入れません。もしほかの人がその人自身の名で来れば、あなたがたはその人を受け入れます。

マタ28:18 イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。「わたしには天においても地においても、すべての権威が与えられています。

  1. 神の家族の関係

ヨハ17:20 わたしは、ただこの人々のためだけでなく、彼らのことばによってわたしを信じる人々のためにも、お願いします。

17:21 父よ。あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるように、すべての人を一つにしてください。彼らもわたしたちのうちにいるようにしてください。あなたがわたしを遣わされたことを、世が信じるようになるためです。

17:22 またわたしは、あなたが下さった栄光を彼らに与えました。わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためです。

17:23 わたしは彼らのうちにいて、あなたはわたしのうちにおられます。彼らが完全に一つになるためです。また、あなたがわたしを遣わされたことと、わたしを愛されたように彼らも愛されたことを、世が知るためです。

17:24 父よ。わたしに下さったものについてお願いします。わたしがいるところに、彼らもわたしとともにいるようにしてください。わたしの栄光を、彼らが見るためです。世界の基が据えられる前からわたしを愛されたゆえに、あなたがわたしに下さった栄光を。

17:25 正しい父よ。この世はあなたを知りませんが、わたしはあなたを知っています。また、この人々は、あなたがわたしを遣わされたことを知っています。

17:26 わたしは彼らにあなたの御名を知らせました。また、これからも知らせます。あなたがわたしを愛してくださった愛が彼らのうちにあり、わたしも彼らのうちにいるようにするためです。」

21節に記されているように、父なる神様と御子イエス様との関係は、「あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいる」と言われるように、相互に内におられる関係なのです。これを相互内在と言いますが、私たちには理解できないように思えます。

「あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいる」とは、

ヨハ14:10 わたしが父のうちにいて、父がわたしのうちにおられることを、信じていないのですか。わたしがあなたがたに言うことばは、自分から話しているのではありません。わたしのうちにおられる父が、ご自分のわざを行っておられるのです。

イエス様は、そのすべての父なる神様のお言葉とすべての父なる神様を御業において、神様のご意志の完全な器であるのです。イエス様の内にある父なる神様の御言葉を表し、行うのがイエス様であります。また、イエス様は、父なる神様のご支配の中に生き、そのご支配に従う、父なる神様の内におられるのです。そのような関係の中にあるお方であることがわかります。

そして、聖霊も、この父なる神様から出られるお方なのです。

ヨハ15:26 わたしが父のもとから遣わす助け主、すなわち、父から出る真理の御霊が来るとき、その方がわたしについて証ししてくださいます。

この父なる神様、子なる神様、聖霊なる神様、三位一体の神様は、父が愛という主導権を持たれ、相互に内在され、互いに献身的にお仕えになる関係を備えておられます。この三位一体の神様の間には、その尊い互いに与え尽くす愛なる関係が成り立っておられます。

イエス様が十字架に架かられたのは、私たちへの愛と救いのためですが、それ以上に、父なる神様へのご愛、そして、聖霊へのご愛のご意思によるのです。

そして、この愛の関係は、友情とも言えます。

イエス様の願いは、私たちに、この三位一体の神様の愛の関係を知り、その関係につながることです。

17:21 父よ。あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるように、すべての人を一つにしてください。彼らもわたしたちのうちにいるようにしてください。あなたがわたしを遣わされたことを、世が信じるようになるためです。

17:22 またわたしは、あなたが下さった栄光を彼らに与えました。わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためです。

17:23 わたしは彼らのうちにいて、あなたはわたしのうちにおられます。彼らが完全に一つになるためです。また、あなたがわたしを遣わされたことと、わたしを愛されたように彼らも愛されたことを、世が知るためです。

17:24 父よ。わたしに下さったものについてお願いします。わたしがいるところに、彼らもわたしとともにいるようにしてください。わたしの栄光を、彼らが見るためです。世界の基が据えられる前からわたしを愛されたゆえに、あなたがわたしに下さった栄光を。

17:25 正しい父よ。この世はあなたを知りませんが、わたしはあなたを知っています。また、この人々は、あなたがわたしを遣わされたことを知っています。

17:26 わたしは彼らにあなたの御名を知らせました。また、これからも知らせます。あなたがわたしを愛してくださった愛が彼らのうちにあり、わたしも彼らのうちにいるようにするためです。」

ですから、イエス様が私たちにいわれた新しい戒めはこうです。

ヨハ13:34 わたしはあなたがたに新しい戒めを与えます。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。

どのように愛するか、それは父なる神様と御子イエス様の愛の関係を知ることです。そして、イエス様が私たちを愛して下さったその愛を知ることです。

今後、更に聖書を通して、これらのことを学んでまいりましょう。

勧士 高橋堅治